キャバクラ営業において、女子給与システムはとても重要です。キャバ嬢が稼げないお店では、キャバ嬢は集まりませんし、かと言って高額な給与を支払いすれば、お店の経営は成り立ちません。この女子給システムは、お店によって色々な考え方があり、お店の経営者の方々が非常に悩む所でもあります。他業種からキャバクラ業界に参入する場合、この女子給与システムに悩まれる方が多く、よく相談を頂きます。
キャバクラ営業では、商品がキャバ嬢なので、キャバ嬢にとり一人の事をどれだけ考えながら経営するか?がポイントとなります。従って、キャバ嬢には稼げる環境を提供し、同時にお店も利益を得るWIN-WINの関係を維持する必要があります。そのために考えられたのが、スライド制時給で、頑張れば頑張っただけ稼げるようにするわけです。例えば、もし自分が働くなら、指名バックやドリンクバックしかないお店と、バックと時給スライドの両方あるお店では、どちらで働くでしょう?
女子給与の時給スライド表を作る場合、お店の経営方針によって異なります。例えば、フィリピンクラブのように、飲食の売上に力を入れているお店や、ソムリエなどを雇用しワインの販売に力を入れているお店では、売上に対してのスライド時給にするお店が主流です。通常のキャバクラでは、飲食に力を入れるのではなく、お客様をお店に呼び込んだ人数に対して時給を変動させるお店が主流です。ようするに指名を取った数によって時給をスライドさせるわけです。
当社では、新規店舗出店時に相談を受ける事がよくあるのですが「他店の時給スライド表が欲しい・・」と言われる事も多くあります。しかし、他店の情報を流出させる事は出来ないので、ここに簡単な時給Pointスライド表の作り方を記しておきたいと思います。あくまでも、一般的なキャバクラ営業での考え方になります。
指名本数をメインに考えるスライド時給計算に必要な、自店の基本情報は、「女子給比率」「客単価」「営業時間」の三つになります。
「女子給比率」とは、売上に対して女子給与の支払い比率になります。殆どのキャバクラがこの女子給比率を50%前後に設定して女子給与システムを作ります。当然、女子出勤人数や売上に応じて変動する数値になるので、スナックやガールズバーは、女子給比率が高くなりますし、キャバクラの大型店などは、あえて女子給を高く設定して他店との差別化をします。この女子給与比率は、地域によって異なるので、出店する地域の市場調査は必要だと思います。
例えば、キャバクラ小型店で月間売上が1500万円とします。酒代は概ね売上の10%くらいなので、女子給50%で750万円支払ったとすると、残りの600万円で、男子給与や水道光熱費、家賃、車両代、寮費などの諸経費やを支払いし、差引額が粗利益となります。
大型店で女子給比率を70%超えで支払いできるのは、そもそもの売上が大きいからです。
仮に大型店の月間売上が5000万円あったとします。酒代を10%で500万円支払い、女子給与比率を70%とし3500万円支払っても、1000万円残る計算になります。キャバクラ大型店舗の場合、キャバ嬢をたくさん集める必要があるため、高額な女子給与を支払いするお店が多いのです。
「客単価」とは、一人のお客様が支払する金額の平均値です。一人のお客様の平均滞在時間は概ね2時間前後となりますので、1セットを60分とするとセット料金+指名料×2の金額前後が概ねの客単価になります。VIP席など高額なセット料金がある場合は、その平均値で算出します。ただし、食事の提供に力を入れているお店や、シャンパンなど高額ボトルの欲出るお店、ソムリエを雇いワイン提供に力を入れている場合は、この計算式は当てはまりません。
時給スライド計算で使用する数値は、「時給」なので、1時間あたりの客単価を算出します。セット料金が50分単位のお店の場合、ちょっと計算が面倒ですが60分単位の客単価を算出してください。
キャバクラのスライド時給表は、お店の営業時間を曖昧にすると算出できません。営業時間5時間のお店と8時間のお店では、同じ時給であれば、支払われる給与金額が異なるからです。お客様をお店に呼ぶ人数を考えると、営業時間5時間のお店より8時間のお店の方が有利になり、5時間営業で算出したスライド時給表を8時間営業で、当てはめると女子給与比率が高くなってしまいます。
お店の店長に売上目標を達成させる為に、営業時間を延長し続けた結果、売上目標は達成しても赤字になってしまうケースが良くあります。一般業界で言えば、「販売商品」の「原価」が、キャバクラの場合、「キャバ嬢」の「時給」にあたり営業時間が、伸びれば伸びるほど、仕入原価が高くなる為です。
閉店間際にお客様が来店し、延長営業をする場合は、接客するキャバ嬢には時給が発生している事を考慮しましょう。時給3000円であれば、1時間毎に3000円の支払いが発生しているのです。
上記数値を踏まえた上で、下記の店舗情報にて女子給与Pointスライド表を作ってみましょう!
〇1時間当たりの女子給を算出する
女子キャストの時給は、1時間単位で計算され支払われるので、1時間当たりの女子給を算出します。
※指名料に女子バックがある場合は、その分を引いて客単価を算出しましょう。
〇Pointスライド表の基準値を算出する
1日の営業時間が5時間で指名客1名にMAX接客した場合、1時間当たり4250円の時給を支払って女子給50%の計算になります。
1日5Pointで時給4250円であれば、15日で75Pointとなり、75Pointで時給4250円を基準値としてPointスライド表を作ります。
(※4250円を50円カットしました。)
あくまでも一般的なポイントスライド表ですが、殆どのお店の基準値は、こんな感じで数値で営業しています。
〇給与の〆が1ヵ月単位であれば、ポイント数が倍になるのですが、15日単位で〆をするお店が多いのは、その方がキャバ嬢にとって稼ぎやすいからです。お店によっては、週払い、10日毎などのお店もあります。もちろん、月末締めのお店も多くあります。
〇ここでは、売上に対しての女子給比率を50%として、ざっくり計算しましたが、指名のないフリー客やドリンクやボトルの売上を加味していないので、実際の女子給比率は50%以下になると考えた方が良いでしょう。その分をドリンクやボトルバックで支給するお店が多くあります。ただし、指名の取れないキャバ嬢が多いと、その分女子給比率が高くなります。
〇お店の立地条件により、フリー客の多い店は女子給比率が下がるので、その分を加味しましょう。一般的にフリー客は全体の30%前後になる場合が多いのですが、優秀な女子キャストが多い店では、フリー客が入るスペースなくなり少なくなります。また、倶楽部営業などでの完全会員制のお店もフリー客の比率が下がります。
〇高級志向のお店で、シャンパンやワインがよく出るお店では、客単価が高くなるので、この計算方法は当てはまらないと思います。自店の客単価を踏まえた上で、スライド表をつくりましょう。
〇お店によっては、延長指名のポイントを増やし、延長させる接客を促しているお店もあり、また場内指名客の延長時の指名ポイントを特に多くし新規客の確保に力を入れているお店もあります。
〇新規開店時は、時給を保証する女子キャストが多く、指名客が少ないので、初めの3ヵ月は赤字営業になると思った方が良いでしょう。