総務省の発表によると、法人を起業して10年以内に閉鎖する会社は、9割以上あるそうです。そう考えると、起業して10年でほとんどの会社が消えてなくなるという事になります。当社キャバクラPOSVENUSの販売を始めて20年ほどになるのですがキャバクラなど水商売で当てはめて考えても例外なく、10年以内に閉店するお店がとても多いのも事実です。
当社は、キャバクラの立ち上げをお手伝いさせて頂く事もあり、初めてキャバクラ業界に出店されるから、よく相談を頂くのですが、「ダメになっていくキャバクラの特徴を教えて欲しい」という質問を頂きましたので、記しておきたいと思います。
長年、多くのキャバクラに出入りしていると、閉店に追い込まれるお店は、同一の特徴があると感じています。
あくまでも、私がそう感じているだけの事なので、一概にそれが正しいわけではありませんので、ご了承願います。
①トップダウンの指示命令が多いお店
お店のオーナーや社長が、現場に来て指示命令を出す事はよくある事なのですが、指示命令の内容を店長や幹部社員に相談なくトップダウンで下す事により、店長とスタッフの信頼関係が崩れてしまいお店の業績が悪化して行くケースがあります。
例えば、キャストが呼んだお客様が閉店間際に来店して、1:00で閉店だからと、仕方なく帰したとしますその直後に社長が来て売上がないから2:00まで営業しろ!
という指示をしたとしたら、そのキャストはどう思うでしょうか?
また、キャストの保証給与を1ヵ月延長する事を社長の了解を経て、店長がそのキャストへその旨を伝えてあるのに、実際に支給された給与は保証給が外されていたら
そのキャストはどう思うでしょうか?さらに店長が社長にその旨を伝えても、そんな事は出来ないと言われればその店長はどう思うでしょうか?
お店の業績は、店長で決まり、業績の良いお店の店長は、スタッフとキャストとの信頼関係がしっかりと出来ています。しかし、店長に相談のないトップダウンの指示命令が多いお店、部長、マネージャーなど複数の管理職から直接現場に指示命令のあるお店は店長がないがしろにされ、スタッフも誰の指示に従えば良いのか分からなくなり、お店の業績は上がりません。お店の営業を任されている店長は、スタッフやキャストから信頼されなくなるからです。どんな人も、信頼の出来ない上司の下で働きたくないでしょう。
②店長やスタッフの教育を怠っているお店
業績に伸び悩む社長やオーナーは、みなさん口を揃えて、店長の愚痴を言います。確かに、お店の業績は店長次第なので、いい加減な店長では高い業績は望めないでしょう。社長からすれば、指示命令をイエスマンのように聞き、指示通りに動くだけの店長では、どこか物足りなく経営者目線で、自発的に色々と提案をして欲しいと思ってしまうものでしょう。とは言え、はじめから優秀な店長は、最終的に独立し自分でお店を経営するケースが多いのが現状です。
優秀な店長が辞めてゆくのは、自分の力で汗水流して稼いでも、お店にいるメリットを感じなくなるからです。従って、優秀な店長を確保する為には、優秀な店長が在籍する事にメリットを感じるような何かが必要となりますが優秀な人材は、あえて夜の商売で働こうとしないもが業界特有の悩みどころです。
逆に、給与だけもらっていれば、満足できる店長は長く勤めてくれるものです。なので繁盛店では、店長の教育に力を入れます。業績の悪化するお店では、明らかに店長やスタッフの教育業務を怠っているように見えます。社長自らスタッフの事を考えていなければ、スタッフやキャストもお店の事を考えてくれないのも道理なにかもしれません。
③売上を誤魔化して、申告するお店
キャバクラの場合、消費税負担が大きく毎年ビックリするほどの納税額になります。その為、少しでも納税額を減らしたくなる気持ちは、とてもよく解るのですが、売上を誤魔化して申告するお店が税務署の税務調査後ダメになって行くケースをたくさん見てきました。
税務調査後に経営が苦しくなる原因は、売上の証拠を抹消している為、ごまかした売上以上の申告を強要されてしまい、その税金の負担額が、実際の経営のバランスを崩してしまう為です。要するに経営状況に見合わない借金(分納税)をした状態に陥ってしまうわけです。
また、売上をごまかすと、お店の現状が解らなくなります。自店の経営状況を把握できなくなるという事です。自店の状況を把握できないまま、流されて経営する為に、業績が悪化している事にも気づくのが遅れしまい気づいた後では、どうにもならなくなる場合もあります。
しっかりと申告しているお店は、合法的な節税の努力をします。税金を払うくらいなら投資しようと決算前にはしっかりと自店に投資して行くので、それだけでも競合他店との差別化になります。また、複数店舗を経営している会社は、納税額が新規出店できるだけの金額に膨れ上がるので、失敗を恐れずどんどん出店できます。失敗しても、税金で納めたと思えば、気にならないからです。経理や財務を会計士や税理士任せっきりでは、業績は伸ばせないと私は、そう感じています。
④会計金額を誤魔化すお店
よくお客様の会計金額を上乗せしたり、セット時間を短縮したりするお店がありますが、お客様が会計金額に不信感を抱くようなお店は、どうしても長続きしないように感じています。また、女子キャストが大丈夫だから!と言われ、セット時間を短縮したり、頼んでいないシャンパンを追加し、会計時にトラブルになったりするケースをよく見かけます。
お客様が不信感を抱きやすいケースは、例えば60分1セット料金のお店で、21:00に来店し、21:50に延長し、その時間から60分セットが開始し今度は、22:40分に延長し、23:00に会計した時に3セット分の料金の会計金額になっていれば、不信感を抱くでしょう。キャバクラに飲みに出かけるお客様は、優越感に浸りに来ているので、会計金額をチェックし指摘する事は、カッコ悪いと思っているお客様が多いので、いちいち会計金額を指摘するお客様は、殆どいないでしょう。しかし、お店の知らない所で不信感が増え続ける事になり、確実に集客に影響しています。
初めから会計金額が不明確な高級店あれば、お客様もそれを承知で来店しているので問題ないように思われますが、実際にそういった高級店でさえ、経営が厳しく減り続けている所を見ると、堅く営業した方が良いでしょう。
⑤お客様を呼ぶ女子キャストのみを極端に優遇するお店
お客様を呼べる女子キャストは、仕事を頑張っているので優遇してしまうのは、当然の事かもしれません。ただ、お店は優秀な女子キャストのみで営業ができているわけではなく、指名が重なればヘルプ要因も必要です。また、オーダーを運ぶボーイや厨房で洗い物をするスタッフもいなくなてならないスタッフであり、それぞれのスタッフがチームとなって営業が成り立っています。優秀な店長は、結果の出せる女子キャスト、そうでない女子キャストのバランスを考えながら日々の業務を回しています。要するにお客様を呼べない女子キャストがいる事で、優秀な女子キャストがお店にいられる事をよく理解しているのです。
成績優主な女子キャストと極端に特別扱いしているお店は、女子キャスト同士の揉め事が多く、悪評が流れたりします。「あの店は、新人イジメがあるんだよね~」などと噂が流れてしまうと、女子キャストを集められなくなり、今いる成績の良い女子キャストに頼る営業となってしまいます。そして、その女子キャストが退店した時点で、営業が成り立たなくなるわけです。
しっかりとしたルールを設けて、優遇する部分は優遇し、平等であるべき所は平等にする事が必要不可欠でしょう。ルールが曖昧なお店ほど、こういったケースに陥ったりします。
⑥ダメ出しの多いお店
誰しも日々の業務の中で、ミスをするものです。何度も同じミスを繰り返すスタッフやキャストもいるでしょう。確かに、何度も同じミスをされていれば、腹も立ち、イライラすると思います。とは言え「何度言ったら解るんだ!」と叱りつけているだけでは、一向に改善されないモノです。
ダメな所を指摘するだけ改善されない理由は、なぜ?同じミスをしてしまうのか?どうしたらミスをしなくなるのか?を本人が理解していない為です。従って、ダメ出しをして終わりではなく、どうしたら出来るようになるのか?を一緒に考えて、指導する必要があるわけです。なぜ?出来ないのか?どうしたら出来るようになるのか?その為に店長としてどうしたら良いのか?を、考え行動しなければなりません。
また、本人にとってはちゃんと仕事をしていると思っている事に対して、ダメ出しされれば何が正解なのか?が解らなくなり、自主的に進んで業務に取り組めなくなる事もあります。その為には、お店の正解をルールとしてマニュアル化する必要もあります。
これらを怠り、ダメ出しばかりしているお店は、どうしても長続きできないものなのです。これは、夜の商売に限らず、どんな会社でも起きている事です。